砧村散歩~灯籠立て
砧村散歩では、この町の良いところや、砧村の昔のお話などを掲載しています。
今回は「灯籠立て」についてです。
砧の皆さま
夏休みも早1週間が過ぎました。蒸し暑い日が続きますが、お体を大切にお過ごしくださいね。
去る7月25日(日)、三峯神社の境内にて、講中世話人の皆さんにより「灯籠立て」が行われました。
「灯籠立て」は、「大山詣で」と深い関係があります。
「大山」(神奈川県伊勢原市)は、古くから霊山として篤く信仰をされていました。特に江戸期には、年間二十万人もの人々が来山したと記録されているそうです。当時、民衆のあいだでは「伊勢参り」をはじめ、寺社に参拝することが大流行していました。そのなかで、江戸の町から二、三日の距離にある「大山」は、気軽に参拝できることから、絶好の行楽地としても愛されていたとのことです。
現在とは異なり、一人で遠出をすることは大変むずかしい時代でした。民衆はご近所同士や同業者などで団体を作り、「講」として参拝をしました。今でも多くの「講」が現存していて、夏の開山時期には「大山」に参拝をしているそうです。
三峯神社においても「講」は今日に至るまでずっと続いております。毎年7月初旬には、講中世話人が「大山阿夫利神社(おおやま あふり じんじゃ)」に参拝し、御札をお納めし、新しい御札を受け取って、「灯籠立て」の日に持参いたします。
「灯籠立て」は、大山詣でに向かう人々が、夜間も安全に通行できるように、大山道に「灯籠」を立てたのがはじまりです。昔は、夜になると提灯と月の明かりしかありませんでした。いつの頃からか、この砧の地でも、大山詣でに出かける人々の安全と地域の安全を願って「灯籠」を立てるようになりました。
「灯籠」は、大山の夏山祭礼中(7月27日~8月17日)に境内に立てられています。皆さま、三峯神社にお参りの際には、ぜひこの「灯籠」もご覧ください。
「灯籠立て」は、古き良き時代から絶えることなく続いた地域の宝物です。大山詣でに出かけた方々の安全を願う、この砧の地、山野(さんや)の人々の温かい心を感じていただけましたら幸いです。